2008年2月6日水曜日

札幌市中心部 落書き「タギング」やめて 清掃といたちごっこ

塗料スプレーを使ったアート風の落書きが札幌の街中で目立ち、清掃担当者を悩ませている。「印を付ける」という意味の英語で「タギング」と呼ばれ、自己表現のつもりのようだが、景観を損なう「迷惑行為」だ。タギングの被害がひどい大通公園(中央区)や狸小路商店街(同)の関係者は「面白半分でするのはやめて」と訴えている。
 大通公園三丁目の変電設備。判読できない文字が、白いスプレーで書かれている。
 「いつの間にか、まちのどこにでもある。こんなに多いと気分が悪いですね」。豊平区の主婦加藤みや子さん(72)は厳しい口調で言う。
 「タギング」は真夜中など人目の少ない時間帯に、電柱や自動販売機などに塗料スプレーで落書きをする行為。大通公園では公衆トイレの壁でも目立ち、公園管理事務所の中村義夫さん(66)は「もういたちごっこ。夏のひどいときは毎日消す作業に追われます」と話す。
 多くはアルファベットを崩したような文字で、自分の名前を表現しているとみられる。札幌在住の現代芸術家、端(はた)聡さん(47)は「誰がいつ書いているのかは分からない。中には芸術性があるものもあるが、単なる迷惑行為にすぎない」と指摘する。
 発祥は米国とされ、一九九○年代にドイツ各地で書かれた「OZ」(オッズ)というタギングが話題を呼んだが、書いた男は最終的に逮捕されたという。
 タギングは書くだけでなく、シールもある。札幌市内では「SKIN」と書かれた縦七センチ、横十五センチのシールが電柱や壁に張られている。
 特に狸小路商店街の一、二丁目では被害が深刻で、同商店街の竹内宏二理事長(67)は「シールはここ一、二年目立つようになった。落書きは器物損壊など、立派な犯罪だが、現場を押さえない限り、やめさせるのは無理」と頭を痛める。
 市内では店舗の壁をタギング用に提供する古着店などもあり、端さんは「表現したいという気持ちがあるなら、しかるべき場所でアートの能力を発揮してほしい」と話している。

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