2008年1月1日火曜日

スキーの原点伝えたい オーストリアの2人今月札幌で講習会

【ウィーン31日石井群也】日本スキーの原点である「オーストリアスキー」の技術を学ぶ講習会が札幌で開講してから、今年で三十周年を迎える。開講時から講師を務め、オーストリアと北海道のスキー交流を支え続けてきたのは、還暦を超えた同国の二人のスキー教師。今月札幌で開く記念講習会を前に、二人は「北海道の若者にスキーの奥深さを伝えたい」と、本場の技術伝承への決意を新たにしている。
 二人は、元国際スキー教師連盟副会長のエリッヒ・モッシャーさん(66)と、チャールズ英皇太子のスキー講師だったカール・ハースさん(67)。
 札幌出身で、オーストリアにスポーツ情報学の研究で留学していた宝賀幸秀さん(58)が一九七三年、二人と知り合ったのが交流のきっかけ。宝賀さんはハースさんのスキー学校に入校し、日本人三人目となるオーストリア国家検定スキー教師の免許を取得した。
 帰国後の七八年、札幌で本場の技術を普及させるオーストリアスキーアカデミーを開講。恩師のモッシャーさんら同国のスキー教師を専任指導員として招き、過去十六回講習会を開いた。
 二人が伝授するオーストリアスキーは、下半身の体重移動で安全かつ合理的に滑るスタイルで、世界の主流となっている。日本では同国の軍人、テオドル・フォン・レルヒ少佐が明治末期に新潟や旭川などで指導し、広まったとされる。
 二人の教え子はすでに千人を超えた。ハースさんは「オーストリア流の指導は、どんな動作にもあいまいさを許さない。それが日本人に合っているのか、他国のスキーヤーより驚くほど上達が早い」と弟子たちを称賛する。モッシャーさんも「日本人の集中力と、スキーへのひたむきさは特別。スポーツ交流を体力が続く限りやっていく」と話している。
 記念講習会は十九、二十の両日、札幌・藻岩山スキー場で開かれる。問い合わせは宝賀さん(電)011・533・4425へ(平日午前九時-午後五時)。

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